レーザー加工機で切れないときの原因と確認の順番|S1・P2Sで実際にあった失敗から解説

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結論:切れないときは「素材 → 設定 → ピント → レンズ → エア → データ」の順に確認する
レーザー加工機で切断しようとしたのに、裏まで抜けていない。こんな経験はありませんか。
「設定どおりにしたのに、なんで切れないの? 故障かな…」
わたしもxTool S1(ダイオード)とP2S(CO2)を使うなかで、何度か「切れない」にぶつかりました。
この記事では、xTool公式サポートが機種ごとに案内している確認項目と、わたしの経験をもとに、確認する順番をこのブログで6つに整理しました。
| 確認すること | 買わずにできること |
|---|---|
| ① 素材との相性 | 素材を変える |
| ② 厚みと設定 | 設定を確認・端材で試す |
| ③ ピント | 厚みの値を合わせる |
| ④ レンズ | 掃除する |
| ⑤ エア | 設定と動作を確かめる |
| ⑥ データ | 線に変換する |
上から順に、お金をかけずにすぐ確かめられることを並べています。この順番は公式の手順そのものではなく、わたしが確認しやすい順に並べたものです。公式の案内は、機種ごとに参照先のページを添えています。
① 素材とレーザーの相性:透明・淡い色のアクリルは、ダイオードでは切れないことが多い
最初に確認したいのは、その素材を、その機械で切れるのかです。ここが合っていないと、設定をいくら変えても切れません。
わたしが一番つまずいたのがここでした。xTool S1(40Wのダイオードレーザー)で、金色・白・透明のアクリルを切ろうとしたら、切れずに溶けるだけだったのです。
ところが、同じ金色のミラーアクリルを、あとで買ったCO2レーザーのP2Sで切ってみると、1回できれいに切り抜けました。

ダイオードレーザーの光は、透明や淡い色の素材を通り抜けたり、はね返ったりしやすいため、うまく熱にならないのです。詳しい理由と経緯は、レーザーで透明アクリルは切れる?の記事にまとめています。
なお、P2・P2Sの公式サポートでは、ガラス・陶器・金属・コンクリートなどは切断できない素材として挙げられています(xTool P2/P2Sが素材を切り抜けないとき(公式))。
買わずにできること
- ダイオード機なら、黒や濃い色のアクリル、木材・MDFなど、機械に合う素材に切り替える
- 機種ごとの得意・不得意は、家庭用レーザー加工機でできること・できないことで確認する
ここだけは、買い替えの話になります。透明アクリルを切断したい場合は、CO2レーザー機が選択肢になります。わたしはS1で切れなかったアクリルを切断するために、xTool P2S(55W CO2レーザー)を買いました。これは素材との相性の話で、いま使っている機械の不調を直す方法ではありません。大きな出費なので、開封から初めて切るまでの記録をxTool P2Sのレビューで読んでから判断してください。
② 厚みと設定:出力・速度・回数を見直す
素材が機械に合っているなら、次は厚みと設定(出力・速度・加工回数)です。
S1の公式サポートでは、切れないときの最初の確認として、次のように案内されています(xTool S1が素材を切り抜けないとき(公式))。
- 素材がソフトの一覧(プリセット)にあるなら、その設定を使う
- 一覧にない素材なら、出力を上げる・速度を下げる・加工回数を増やす
参考までに、わたしが4mmのMDFを切ったときの設定です。
| 機械(MDF 4mm) | 出力・速度・回数 |
|---|---|
| S1(40Wダイオード) | 100%・35mm/s・5回 |
| P2S(55W CO2) | 90%・7mm/s・1回 |

この板・機械で切れた記録で、同じ設定での切断を保証するものではありません。
どちらも切断できましたが、S1は5回なぞる必要があり、P2Sは1回で切れました。設定の決め方はレーザー加工機の設定・パラメータの決め方に、P2Sで4mmのMDFを切ったときの条件と結果はMDF設定の記事にまとめています。
一方で、厚い無垢材は、設定を変えても切れないことがあります。わたしはアカシアの1.5cm厚を、いまのところ自分の設定では切り抜けていません(レーザー加工に向いている木材の記事に書いています)。「数mmの板が切れるから、厚い板も切れる」とは限らないのです。
買わずにできること
- 素材に合う推奨設定を確認し、端材で出力・速度・回数のうち1項目ずつ調整する
- 同じ「4mm」でも、メーカーや接着剤の違いで切れ方が変わることがあるので、新しい板は毎回試す
出力を上げたり回数を増やしたりすると、そのぶん素材に熱がかかり、火が出やすくなります。加工中はそばを離れず、換気をしてください。
③ ピント(焦点)と素材の厚みの値:機種によって確認することが違う
設定が合っていても、レーザーのピントが素材に合っていないと、力がうまく伝わりません。ここは、機種によって公式の案内が違います。
S1の場合
- 切断のときは、ピントを素材の表面ではなく少し下げると切れやすくなる、とされています。多くの場合は3mm下げると効果がある、という案内です(xTool S1の焦点を下げる方法(公式))
- 適切な降下量は素材の厚みや性質などで異なるため、3mmは一律の設定値ではありません
- 公式の説明は旧ソフト(XCS)の画面で、切断の設定でだけ使える機能です
P2・P2Sの場合
- ソフトに入っている素材の厚み(距離)の値が、実際の厚みと同じかを確認する、と案内されています(xTool P2/P2Sが素材を切り抜けないとき(公式))
わたしがP2Sで4mmのMDFを切ったときは、機械が素材の厚みを自動で測る機能を使いました。このとき、ソフトには自動計測値として4.47mmと表示されました。

画面には「フォーカス降下」という項目もありますが、このときはオフのまま、1回で切れました。
買わずにできること
- S1:厚い素材を切るときは、公式の案内にある「焦点を下げる」設定を試す
- P2・P2S:厚みの値を、実物に合わせる(自動で測れる場合は測り直す)
- どの機種でも:板が反っていると、場所によって素材までの距離が変わります。一部だけ切れ残るときは、板が平らかどうかも見てください
④ レンズの汚れ・焼け:「急に切れなくなった」ときに見る
前は切れていた素材が、同じ設定で急に切れなくなった。そんなときに見たいのがレンズです。
公式サポートの案内は、機種ごとにこうなっています。
- S1:内側のレンズと保護レンズに傷や汚れがないかを確認し、保護レンズが汚れていれば掃除、焼けていれば交換する。内側のレンズが焼けたり割れたりしている場合は、写真を添えてサポートに問い合わせる(xTool S1が素材を切り抜けないとき(公式))
- P2・P2S:反射ミラーとレンズに汚れがないかを確認する。レンズの取り付けの向き(凸面が上)も確認項目に入っています(xTool P2/P2Sが素材を切り抜けないとき(公式))

わたしの場合、「切れ味が落ちてきたな」と感じたタイミングでレンズを掃除したり、新しいものに交換したりしたときに、切れ方が戻ったと感じたことがあります(体感なので、掃除と交換のどちらが効いたのかまでは分かりません)。
正直に書くと、わたしは以前、濡らしたキッチンペーパーでレンズを拭いていました。これは公式の方法ではありません。掃除は、お使いの機種の公式手順に沿って行ってください。
- S1:レーザーレンズ・保護レンズ・エアノズルの清掃(公式)
- P2S:レーザーミラーの清掃(公式・ミラー用の手順)。清掃後は光路のテストをするよう案内されています
わたしの反省と、実際にかかった費用はランニングコストの記事に、ふだんの手入れはメンテナンスの記事にまとめています。
買わずにできること
- S1はレンズと保護レンズ、P2Sはミラーを、それぞれの公式手順で確認・掃除する
レンズが傷ついたり焼けたりしている場合は、機種ごとの公式案内で、交換するのかサポートに相談するのかを確認してください。S1の場合、保護レンズは交換、内側のレンズはサポートへの問い合わせと案内されています。
⑤ エア(エアアシスト・風量):持っているなら、まず設定と動作を確かめる
切るときに、加工する場所へ空気を吹きつける装置をエアアシストといいます。公式サポートの案内は、機種でこう分かれています。
- S1:厚い素材や硬い素材を切るときは、エアアシストを取り付けて、ソフトで風量を設定する(公式の例は旧ソフトXCSで「4」)(xTool S1が素材を切り抜けないとき(公式))
- P2・P2S:切断モードで、エアの風量を100%にする(xTool P2/P2Sが素材を切り抜けないとき(公式))
上の③の写真でも、P2Sの画面で「エアポンプの通風」が100%になっているのが分かります。
わたしもS1でエアアシストを使っています。実際に加工していて、エアアシストがあった方が彫刻・切断の仕上がりがきれいになると感じています。仕上がりを重視するわたしにとっては、必須だと感じる道具です。
すでにエアアシストを持っている場合は、買い替えを考える前に、つなぎ方と設定、実際に風が出ているかを確認してください。
- S1:エアアシストをS1に接続する方法(公式)。自動モードと手動モードがあり、公式ページでは自動モードは旧ソフトXCSでの使い方として説明されています
- S1でつながらないとき:エアアシストがS1に接続できないときの対処(公式)
S1でエアアシストを持っていない方は、追加の候補になります。S1はセットによってエアアシストが付いていることがあるので、まず手持ちのセット内容を確認してください。付いていない場合の、S1対応の購入候補がこちらです。販売元がxTool Officialで、商品名に対応機種として「S1」が明記されているxTool S1/M1 Ultra用エアアシスト。取り付ければ必ず切れるようになる、というものではありません。①〜④を確認したうえで検討してください。
⑥ データ:切りたいところが「線」になっているか
ここまで確認しても、一部だけまったく切れないなら、データを疑います。
レーザーで切れるのは、輪郭が「線」になっている部分です。写真やイラストを画像のまま置いても、機械は「どこを切ればいいか」が分かりません。
買わずにできること
- 画像は、ソフトの「トレース」で線に変換してから、切断に設定する
- 切断にしたつもりの線が、彫刻やスコア(線彫り)に設定されていないかを確認する
データの作り方の基本は、レーザーカッターのデータの作り方にまとめています。
それでも切れないとき:サポートに相談する前に準備すること
①〜⑥を確認しても切れない場合、機械の側に原因があるかもしれません。公式サポートでは、次のような原因も挙げられています。
- P2・P2S:レーザーの通り道(光路)のずれ、CO2レーザー管の出力が時間とともに落ちること(xTool P2/P2Sが素材を切り抜けないとき(公式))
- S1:内側のレンズの焼け・割れ(xTool S1が素材を切り抜けないとき(公式))
S1の公式ページでは、問題が続くときは作業データ、素材のサンプル、切った結果の写真を添えて問い合わせるよう案内されています。相談する前に、次の3つをそろえておくとスムーズです。
- 使った設定(出力・速度・回数・厚みの値)が分かる画面の写真
- 切れなかったものの表と裏の写真
- 素材の種類と厚み(買った物なら商品名も)
まとめ:切れないときは、お金をかけずに確かめられることから
| 確認すること | 買わずにできること |
|---|---|
| ① 素材との相性 | 機械に合う素材に変える |
| ② 厚みと設定 | 設定を確認・端材で試す |
| ③ ピント | 距離・厚み・焦点設定を確認 |
| ④ レンズ | 公式手順で掃除する |
| ⑤ エア | 接続・設定・動作を確かめる |
| ⑥ データ | 線に変換する |
買い足しを考えるのは、次の場合です。
- ダイオード機で、透明アクリルを切断したい → CO2レーザー機が選択肢
- レンズの損傷 → 機種別の公式案内で、交換かサポート相談か確認
- S1でエアアシストを持っていない → S1対応のエアアシスト
わたしのアクリルやMDFの加工経験は、素材との相性と設定を見直すきっかけになりました。買い足しを考えるのは、①〜⑥を確かめてからで大丈夫です。
設定を自分で追い込むコツは設定・パラメータの決め方に、機種ごとの違いはxToolシリーズの機種比較にまとめています。
「そもそも家庭用レーザーで何ができるの?」という全体像は、家庭用レーザー加工機でできること・できないことをどうぞ。
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